人生万歳

2011.03.03

人生万歳

早いもので3月になりました。ようやく始まった「人生万歳」に行ってきました。
今回のウディ・アレンは楽しみしていた。40作品目という事と、久しぶりのニューヨーク・コメディ、
そして70年代半ばに書き下ろした脚本だという事。

「アニーホール」や「マンハッタン」の時代。面白くない訳がないと!
まず、スクリーンの向こうにいる観客に向かい語りかける皮肉屋で理屈っぽい
主人公ボリス。人生の無意味さを語り女子供相手に容赦なく悪態をつきまくる変人。
しかし、この主人公がなぜか愛すべきキャラにみえるのがウディ・アレンの映画
である。そして南部の田舎町から家出してきたメロディ。世間知らずのメロディが知的な女性へと変わっていき、
彼女の母親はアートに目覚め、父親はゲイである事を認めるようになる。
登場人物達は目を見張るスピードで激変していく。
ボリスとメロディ、メロディの両親、ボリスの友人達が織りなす人間関係。
男と女が、鞘におさまるはずの関係が、原題「whatever works」(なんでもあり)
の状況になっていくのだ。
ストーリーでの出来事は「偶然」から始まる。ウディ・アレンが常日頃から抱いて
いる信条「人生で起こる事の90パーセントは運に左右される」という人生観を反映したもの。

「どんなに頑張って自己管理しても結局のところ生き残っていく
ためには幸運が必要なんだ「俺は自分で運命を切り開いてきた」って自慢する人もいるけど、
そういう人だって家から一歩出た瞬間、たまたま上の階の誰かが投げ捨てたピアノが頭の上に落ちてくるかもしれないんだからね」と
ウディ・アレン。そう、その通りだと。今回の映画の中でのエピソードのように。

運がいい、なんて言葉 少し陳腐に思っていたがそうでもないようだ。
この時期になると思い出す事。数年前の病気の事。3月になると両親から
頭(脳)の検査を受けなさいよ、と言われる。そして眠れない日々がつづく。
もう何年か経っているので検査しても大丈夫なはずなのに病院へ行く事が恐い。
今のうちに会いたい人に会っておこうと思ったりもする。
そんなナーバスな気持ちの中、今この映画を観た事もきっと偶然なんでしょう。
思わず1人でニヤリとしてしまったハッピーエンドなラスト。
スクリーンの中からボリスは言う「生まれてきた事が、運がいいのだ」と!

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