美手

2009.12.03

たとえば男性なら女性 女性なら男性の好きなところはどこか?
と聞かれたらなんと答えるか。もちろん顔でもいいし、好きな仕草だって
いい たとえば「魚を上手に食べる人」なんてのも有りだと思う。
私は昔から 手がきれいな人 だ。

ある時ある人のその手がとても温かく素敵なものだった。
久しぶりにその手に恋をして、せつないという気持ちを思い出させてもらった。

活版印刷の事を聞いたのはいつ頃のことだろう。なんとなくは知っていたが
(名刺だって活版印刷なのだから)はっきりと意識した事はなかった。
福岡の住吉にある創業50年以上になる活版印刷所の店主が体調を崩された事で
店を閉める事になった。「言葉を組む仕事」と題しalbusでは写真展+活字なども
見れる展示が行われている。
展示を見にいくと、先にいたスーツ姿の男性がじっと長い間動かず見ている。
写真を見進めていくと おや?どこかで見た顔の人が写ってる あ!後ろのスーツの人
店主の息子さんだった。思わず「息子さんですか?」と話しかけていた。
少しお話をさせてもらった。息子さんは跡は次いでいないものの印刷会社につとめて
いるそうです。やはり幼い頃から父の背中をみて育ち影響をうけていたのかも と。
そして仕事の繊細さ、職人の仕事ですから僕にはとうていできません と静かに言われた。
そして、こんなふうに展示していただいて ありがたい と。

本当にいいものはかたちをかえても残り 続いていく。
気の遠くなるほどの活字を組みづつけた インクのついた手が 写真を通し とても
たくましく、美しく、そして違った意味のせつなさが私の心にずっしりと響いた。

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ハンス コパーとルーシーリー

2009.11.27

11/29(日)まで兵庫陶芸美術館でハンス コパー展が開催されています。
といってもあと2日間 ぎりぎりの情報ですみません。
ただし、今後は信楽の陶芸の森や多治見にある現代陶芸美術館などにも巡回するようです。

兵庫陶芸美術館は神戸から簡単に行けるかと思いきや、車で1時間強 有馬温泉よりも奥の
丹波にあります。そうです、気軽にハンス コパーを観たいという気持ではなかなか行けません。
正直すごく期待をしていた訳ではないのですが、美術館のロケーション そして
展示会の構成がコンパクトでありながら素晴らしいこと。
ハンス コパーの作品が大小130点 ハンス コパーの遺族やコレクターの協力のもと
日本で初めて紹介される回顧展の為に集められました。
イギリス陶芸界の巨匠と言えばご存知のようにバーナード リーチにルーシーリーが有名です。
コパーは一般的にルーシーリーの助手ととらえられているようですが、ルーシーリーは
コパーに意見を求め彼の才能を高く評価しており互いに強い信頼関係があったようです。
会場にはその事を証明すべくコパーからリーの贈り物の展示もありました。
会場は4部構成 年代を追ってコパーの作品を観る事が出来ます。
3部ブースには陶芸美術館が所蔵する多くのルーシーリーの作品の展示があり、
コパー作品の魅力を更に引き立てるとともにルーシーリーの偉大さが改めて理解できました。

やはり百聞は一見にしかず 実物を前にすると本で観た作品と違うようであった。
それはやはり ものからオーラが発していうのであろう。

そうはいってもハンス コパーやルーシーリーの作品はなかなか手が届くお値段ではないですね。
やはりここは 本を眺めながらじっくり楽しむとしましょう。

PATINAでは
ロンドンのギャラリーベッソン製作であるLUCIE LIEの小冊子と
珍しいLUCIE LIEの本が間もなく入荷しますので その際またご紹介させて頂きます。

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デジタル化

2009.11.09

「知らない」という事はとても不利なことだと思う

パソコン音痴である。もちろん最低限な操作はできるが
事務系なんかは特にわからない。
しかし今の時代「苦手だから・・」で通用しない(してほしいが・・)
パソコンに限らずデジタル化は進み、きっとこのままだと娘の方がすぐに
なんでも覚えてしまうだろう。周りではiphoneやtwitterなども日常で
私としてはデジタル波に乗り遅れつつある。
しかしこのままではいけない、パソコンだけでも使いこなさなければと
今日は朝からずっとMacの前に座っている。新しいパソコンは驚くほど
機能がある。これはある程度使いこなさなければと気合いも入る。

デジタルといえばカメラだってそうだ。
昔はcanonのEOS-1VHSに28-70のLレンズなんかを使っていた。
今プライベートで使っているカメラは軽くて持ち運びしやすいものだ。
気軽に撮りたいときにすぐ撮れる事と子供の撮影などは動くし難しいから
デジタルの方が楽といえるのではないか。気合いを入れる撮影だと
私は思うように撮れない事もあり、上の写真は自宅での遊びの延長だ。
デジタルがすべていい訳でもないが知らない事にはそれぞれの良さも
わからない。なんて言いながらも我が家のテレビの右上には「アナログ」
マークがしっかりとあるのですが・・

とのことでただいまwebショップを制作中です。

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ちっちゃな本棚

2009.10.30

本棚はその人を表す。今、どんなことに興味があるのか
どんなことが面白いと思うのか その時の気分などが表れる気がします。

coffonにて「今月のcoffonのちっちゃな本棚」と題し、いろいろな人が
本の展示しています。
現在は主人が本のセレクトを行い展示させて頂いています。

時間の園 高田 竹弥
みんなの古本500冊 恵文社
キャンティ物語 野地秩嘉
Naini and the Sea of Wolvestrinidad carrilo
私の履歴書 猪熊弦一郎
バウハウスと茶の湯 山脇道子
二人の仕事澄 敬一×松澤紀美子
LE DOUBLEMARIAN WIJNVOORD など20冊ほど。

考えると最近は本も買ってない。
なので私の「今の気分 文庫10冊」を勝手に紹介したいと思います。

砂の上の植物群 吉行淳之介
巴里の空はあかね雲 岸恵子
他人の顔 安部公房
結婚しません 山口瞳
青年は荒野をめざす 五木寛之
地球をしばらく止めてくれ
ぼくはゆっくり映画を観たい 寺山修司
月魚 三浦しをん
八月の路上に捨てる 伊藤たかみ
風に舞い上がるビニールシート 森絵都
ノルウェイの森 村上春樹

こんな感じです。明日にはきっと何冊か変わっているはず。
「ちっちゃな本棚」は毎回いろんな方の本が見られるようです。
その人の何かが少しわかるのはきっと面白い。

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ストール

2009.10.27

髪をきった。
かれこれ何年になりますか 昔から髪型が変わらない。
ボブ好きである。
もちろん若かりし頃にはベリーショート的な髪型もした事もあるし
ロングな時期もある。
しかし20代半ばからはすっかり落ちついてしまいボブのみ
保守的な自分がいやになったりもするのだが一番しっくりしてる
ような気がするから良しとしたい。
少し首もとが涼しくなったので展示会で作ったストールを愛用中です。

展示会にてオリジナルのストールを販売させて頂きました。
全8種類でしたが ありがたいことに現在売り切れているものも
あるので追加でオーダーすることにしました。

現在HPを作成中ですので、詳しくは近日中にアップしたいと思います。
素材感を感じて頂きたいのでお近くの方はぜひお越し頂ければと思います。

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文庫と映画

2009.10.22

少し前の出来事
「シネテリエ天神」が「天神シネマ」
と名を変えて上映作品を成人映画に限ることを決めた。
芸術性の高い作品を上映してきたが、シネマコンプレックスの台頭や
不況の影響で観客が減少していた。とは言う物の映画が好きで通った場所 
時代の流れとはいえやはり寂しさを覚える。

仕事を始め忙しいながらも自分自身の事が少し考えられるようになった。
しなければいけない事は山積みだが少し時間があると本を読む。
基本的に文庫 そしてできれば長編 内容はその時の気分だがほとんど
明るい感じではない 気に入った物語は何度でも読める
そしてさらに時間があれば映画を観る(観たい)
ここ最近は「しんぼる」「私に中のあなた」を観る
「私の中のあなた」に関しては久しぶりに映画館で泣いてしまった。
監督 ニック・カサベテス とのこともあり観に行った映画だ。
前はゾエ・カサベテスの事を書いたのでなんだか、カサベテスファミリー
のファンのようだがそうではない(私はトリュフォー派だ)
トリュフォーといえば数日前なにげなく手に取った本「すべては映画のために」 
アルノー・デプレシャン発言集を見る。2006年出版 今は何年だ?と自分に
問いかけながらページをめくる。アルノー・デプレシャンは好きな監督だ。
その本のなかにトリュフォーの「華氏451」という映画について書かれていた
文章が面白く印象に残った。この「華氏451」と映画 個人的には大好きな
映画だ。ただあまり有名ではない 賛否両論なのだ。

その世界ではすべてテレビからの情報でしか知識を得ることが出来ず
本を読むことはおろか所持することも一切禁止。
もし本を所持していることが見つかると消防士が駆けつけて全ての本は没収され
焼かれてしまう。消防隊の役目は火を消すことではなく本を集めて焼く事になってる。
つまり”消防”隊ではなく、”焚書”隊なのである。
ある女性と知り合い彼女との交友を通じてそれまでの自分に疑問を感じ始めた。
仕事の現場で拾った数々の本を読み始め、社会への疑問が高まっていく。
本の魅力に取り付かれてしまう彼の運命は・・

この映画はトリュフォーの「書物への愛」を感じる
ラストシーン「書物人間」達が雪の舞う湖水のほとりを行き戻り歩く
シーンはとても美しい。

時代の流れでなくなるものもあるのは仕方がないことだが
やはり伝え、繋いでいかなければいけない事もある。
「華氏451」は決して絵空事ではないのかもしれない。

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