20世紀のイタリア美術史で重要視されているジョルジュ モランディは
生涯 卓上静物と風景という限られたテーマでの創作活動が知られています。
意識しなくても、テーブルの上に置かれた瓶や水差し 碗など 何の変哲もない質素な同じ
マテリアルが多くの絵に繰り返し登場しモランディの作品だったと感じることができます。
テーブルも背景の壁も装飾のない無地であり、余分なものは一切描かれていません。
激しい自己主張も物語性もないモランディの静物画は独自の静寂な世界を形作っています。
前置きが長くなりしたが、john gruenは現在でもアメリカで活躍する写真家です。
このobjectsという写真集は1981年NYの出版社knofから初版3200部発行されています。
すべてモノクロで撮影されたアノニマスな日用品や石 どこかに捨てられていたもの
たちに生命を与えるかのごとく 物の本来持ってる魅力を最大限に引き出した写真で
構成されています。
この写真集を眺めるとあらためて写真が持っている魅力や可能性そして素敵な本に
出会えた喜びを与えてくる1冊です。
ジョン グルーエンのモノクロの写真をみて真っ先にモランディの静物画を
思い出したのは私だけではないはずです。
お部屋のディスプレイにも最適ですが、本当に手にとって眺めて欲しい1冊です。
*国内ではなかなか手に入れる事ができない写真集だと思います。