辻浩喜の薄白磁カップ

2011.07.29




有田は日本の磁器の発祥地として有名な場所です。
400年前、有田の泉山で日本ではじめて磁器の原料が発見され
磁器の生産が始まったそうです。
辻さんは、武蔵野美術大学院彫刻家修士された後、
生まれ育った有田で、ご自身の製作活動をされています。

辻さん曰く
『自分の中にある色々な思い(迷い 悩み 考え ぼーっとする etc)と向き合う時はいつも
自然の現象(海波 水平線 朝日 夕日 空 雲 山 etc)を見て感じ向き合っています。
その自分と向き合う時の不思議な感覚(時が止まっているような、ぼーっとしているような、
考えているけど考えていないような etc)を表現できたらと思い、もの作りをしています。
自然現象そのものを表現するのではなく、その奥に潜んでいるものを表現できたらと思っています。水平線の器(波紋)もそのひとつで、器を極限まで薄くつくり、器に水(液体)をいれて光の力をかりて器の中に水平線を見ることができる。それを眺め色々な感覚を感じて頂けたらと思います。そして、作ってみてあらためて解ったことは、儚く壊れやすいものは内に秘めた強さをもっている=儚いものは強いということ』

コメントだけ読むと緊張感がありますが、とても感じがよく、気さくで面白い人。

辻さんの磁器のカップは綺麗な白で、すごく薄くできています。
うすはりグラスをイメージするとわかりやすいかもしれません。
繊細な薄さを持つ造形は、何より、口あたりが滑らかになります。
1度このカップを使用すると他のカップでは満足できない不思議な魅力があります。
水平線の器シリーズであるこのカップの生地は、特上の土を使うことで綺麗な白になり、
成型時に極力薄く作り削る、そして内側の釉薬は通常の半分の濃度で制作することで、
機能性と造形美に溢れ、普通のようで普通ではない、このカップは誕生するのです。

自宅でも毎日、愛用していますが、この季節に飲む発砲酒は、間違いなくビール以上に
おいしく感じれる魔法のカップなのです。

share patina

note

Recent Entry Monthly Archive
Our Friends Follow Patina

Page Top